本記事は、私が2017年ごろ大学院時代に発見した、”湿度トリガー型巨大球晶成長法(Hygro-Triggered Giant Spherulite Formation: HT-GSF)”について、日本語で詳細に説明した初の報告となります。
巨大球晶と言ってもどのようなサイズでどのようなものができるかが最初に気になると思うので、まずはiPhoneのカメラで撮影された成長前後の基板をお見せします。

基板はごく普通のカバーグラス※1に、超音波洗浄とオゾン処理を施したものです。
※1 武藤化学のカバーグラス。Hydrolytic Class1を原料。
(a)は窒素またはアルゴン下のグローブボックス内で、3MAIとPbCl2をDMF中に40wt%溶かした溶液を、2000rpmで30秒間スピンコートしたあと、60℃で10分間ボックス内でアニールしたものです。
基板が黄色いのは、MAPbI3-xClxの、Xの部分が大きく、ほぼMAPbCl3となってしまっていることを意味します。(XRDで確認済み)。
つぎに、グローブボックスからこの不安定な物質が乗ったガラス基板を、大気に触れないように厳重に密閉した容器に入れ、取り出します。
大事なのはここからです。
とりだした容器を、湿度60~65%RH程度、25℃くらいの場所で、開けるのです。そうすると、基板は一瞬黒くなり、その後少しグレーのような色になって、湿度トリガー型巨大球晶成長現象が始まります。
結晶核が18mm x 18mmの基板上に、わずか数点だけ発生し、発生した結晶核からは360度放射状に超巨大な球晶が基板全体を覆うまで成長します。
結晶核を中心として均等な速度で球晶が成長していく様子を捉えたのが、この図です。

また、発生した超巨大球晶がまわりの細かい粒子を食べるように飲み込んでいく動画も、光学顕微鏡により撮影できました。
得られた球晶はMAPbI3-xClxの水和物であることが、XRDより明らかになっています。
さらに、この球晶をアニールして得られるMAPbI3-xClxは、大気に晒してもほとんど劣化せず、耐久性が高いのが特徴です。また、(110)面に配向していることがXRDより明らかになっています。
私はこの現象を2017年ごろに偶然発見したあと、なんとか論文にして世の中にわかる形で公表したかったのですが、当時私は球晶について全く知らないド素人で、理論的説明は一人ではなかなか難しく、また発見者という立場から、対等に議論できる人が現れることもなく、2025年6月に単著でChemRxivにプレプリントが公開されるまで、なんと8年の月日が流れてしまいました。
そうしてやっと、私はこの現象の第一発見者として科学界に名を残すことになったのですが、それだけでは世の中は変えれないことにも気づきました。
なぜなら、科学に本当に興味のある人が非常に少なくなってしまったからです。
いま、XやThreadsを見ると、お金とか容姿とかの話ばっかりで、科学的な発見に関するポストは、やはり相当少ないように見受けられます。
しかし、私たちが使っているスマホも、全てはこうした偶然の発見や地道な科学者たちの努力の上で成り立っているんです。
科学は事実の積み重ね。大変なことでしたが、挑戦するのが当たり前に、なってほしい。そして、うまくいった人には、相応の称賛や対価を与えることが、自然にできるような世の中になってほしい。そう思います。
まぁ、まだまだ私は努力不足で大したことはありませんが、この発見を期に、もっと大きなことに挑戦していくつもりです。見ていてください。必ずやってみせます。
よかったらDMください。
この成果を引用したい方は以下のようにしてください。現在第4版を執筆中です。
1. Murakami HT. Centimeter-Scale Giant-Grain Growth: Radial Expansion of MAPbI3-xClx Precursor Single Crystals from a Single Nucleus on Glass. ChemRxiv. 2026; doi:10.26434/chemrxiv-2025-0dxhw-v3 This content is a preprint and has not been peer-reviewed.
Hiroto T. Murakami (村上寛虎)
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